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不登校 ひきこもりは 家庭の宝

運転免許取りたい! 車が欲しい!!

息子のひきこもり脱出記 NO.19

 

「車の免許を取りたい。」

息子の言葉にビックリ。

彼女が運転免許を取ったということで、「考えてみたら自分も免許を取ることができる

年令なのだ、だから取りたい。」と言いだしました。

 

そうか、もう19歳になるのか・・・。

 

外へ出ることが多くなったとはいえ、フレンドスペースという理解のある守ってくれる

居場所で出会ったスタッフ友人や彼女との付き合いだけ。「社会的ひきこもり」を脱出

したわけではないし、体調も回復したわけでもないし、車の免許なんて考えもしなかっ

たし、まだまだ早いのではないかと反対でした。

 

しかし、

「自分の興味のあるもので、しかも絶対行かなければならないものでなく、自

分のペースで挑戦できるものから始めて、自信をつけたい。

次へのステップにしたい。」

と言うので、そこまで考えているのならいつまでも反対していてもと思い、OK

しました。

 

 

 息子は自分で近くで通いやすい自動車教習所を見つけて、申し込み書をもらってきまし

た。これだけでも勇気がいったでしょう。

しかし、やはりすぐには出しには行けません。

提出できても、今度は通えません。

それでも、何度か挑戦して半年後、春に仮免許が取れました。

すると、今度は「車のことを考えていてくれるだろうね。」と言い出したのです。

私としては、免許はとっても車までは・・・またまた想定外。

 

息子にしては、「免許=車=便利に動ける」という気持ちが強く、

「車が手に入らないなら免許をとっても仕方ない。」

「止めて、車を買ってもらえるようになるころに入学し直す。」

という、白か黒かで、「あいまい」という考え方はできないのです。

 

私は、

「千葉に車を持って行くということは、社会的に自分が責任を持つことだ。」

「まだ、体調も回復したわけでないし、何かあったときに、自分で適切な処理ができる

のか。まだ、若いのに一生自分が負い目をみなければならない。自分一人の問題では済

まない。相手もあることだから。」

「未成年なのだから、親も責任をもたなければならないが、離れて住んでいるのですぐ

には駆けつけることができない。」

などの反対の理由を話しました。

このことは分かってはくれたのですがが、本人の気持ちを変えることは難しかったので

す。

主人が「車のことは免許をとってから考えればいい。」と言ったことで、卒業検定を受

けて、一発合格。

 

次は、夏休みにこちらに戻っての学科試験(住民票は移してはいなかったので)。

しかし、そのときも

「車が手に入らなければ、学科試験を受けても仕方ない。」

「俺がここまで努力したのだから、その努力に報いよう。」

とか言っていました。

彼女も

「自分のために免許を取ったのだから、車のことは関係ないでしょ。」

と言ってくれたのですが、

「俺は違う。車を運転できなければ免許なんて紙切れ以下の何でもない。」

と、誰の話も聞き入れませんでした。

 

それでも、「自分に頑張ったご褒美」と言って、急行「銀河」に乗って帰ってきまし

た。(鉄道ファンなのです。)

そして、私が運転免許の試験場まで送り迎えしました。

そして、合格。おめでとう!

帰りは息子が車を運転して、お祝いにその足でランチを食べに行きました。

 

1週間ほど、私や主人が車の助手席に乗って、息子は主人の車でドライブを楽しみまし

た。一人で乗ったことは1回しかありませんでした。

「ベテランの指導を受けたい。」と言って。

 

それだけ、息子は車の運転には慎重で、私の言ったことを考えてくれていたのだろうと

思いました。

しかし、その間も車のことを言い続けていました。

何故だめなのか何回も聞きますので、こちらも前記のことを何回も話しました。

 

「体調は良くなってきているし、どうなればもう心配ないと認めてくれるのか。」

と聞きますので、こちらの目に見えることを話さなければならなくなり、

「取引のようでしたくはないのだけど」と前置きし、「例えば、通信高校やアルバイト

など、もう少し社会に参加すること。親の車を借りて運転するならとにかく、自分の車

となれば社会的責任が大きくなる。俺を一人前と認めてくれといっているのと同じだ

よ。」

と、話しました。主人も同じようなことを話したのですがどうもはっきりしません。

 

息子と主人は思うように話ができず、こんなときはいつも私が主に話をすることになり

ます。(現在でも同じ状態が続いていますが・・・)

 

そうこうしているうちに、息子が家の門(かど)で、車をコツンと当ててバンパーをへ

こませてしまいました。

これには、動揺して自信を少しなくしたようでした。

 

「責任を取れないので、車のことはまだ早い」という私の話。

のらりくらりと車のことを避けている主人。

車をぶつけてしまって、自分自身が少し不安になったこと。

 

「でも、車は欲しい。」

息子はとても不安定になりました。

 

「免許を取ったことを誰も認めてくれないし、喜んでもくれない。

 自分がどれだけ努力してきたか分かってくれない。

 車のことを考えていたからこそ、ここまで頑張れたんだ。

 それを、あんたらは分かっているのか。

 でも、もういい。

 あんたらが反対しているのに、いつまでも車のことを言っていたら、ただ我が儘を

  言っているだけみたいだから。

 車を買ってもらえないなら、やる気を出したってだめだし、今、失意のどん底にいる

 ので、這い上がるために何ヶ月かかるか分からん。

 しばらく、ひきこもっても文句言うなよ。

 松戸に帰ったら、車を見るのもいやだから外へ出られないだろう。」

などと、不満を私にぶつけてきました。

毎日乗っていた車にも乗ろうとしなくなり、昼間からお酒を飲もうとしました。

 

 

主人の車を12月に買い換える予定だったので、12月に車を何とかしてあげると約束

すれば 、それで納得するのでしょうが、いくら息子の頑張りを認めるといっても、こ

んなことでいいのだろうか。

これを乗り越えなければ、息子の本当の進歩がないのではないか。

本人が車のことを頼りに、ここまで頑張り動いてきたのだから、車を持たせて、このま

ま応援してあげた方がいいのだろうか。

 

本当に迷い、カウンセラーさんに手紙を書き、次の面接予定まで待てず電話面接を申し

込みました。

 

実は、ここに書いた内容は、手紙の下書きを参考にしています。ノート類を整理してい

たらでてきたのです。

ここまでのことは覚えていなかったのですが、あのころの息子の苦しみ・気持ちと同時

に、自分の苦しみや迷いがよく分かりました。

 

カウンセラーさんとどんな話をしたのかは、全く覚えていません。

しかし、主人の車を息子に譲って、松戸へもっていったのですから、このまま息子を信

じ応援することを選んだことは確かな事実です。

 

そして、確実に息子の行動範囲は広がり、

次の行動にも繋がっていきました。

 

改めて、本人を認め信じることの大切さを感じました。